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2009年3月14日 (土)

なんでぇ

駅へ戻ると、

まず公衆便所を借りてみた。

中国の便所はついたてもなく穴があるだけだ、

などという話を聞いていたので

見てみたかったのだ。

オレなどは、

小便をするのにも、

並んでするのが落ち着かず、

個室に入って用を足すほどの繊細(?)な

神経の持ち主だから、

体験しようなどという気は毛頭ないのだ。

ところが、

入り口で金を取っている。

そして紙をくれるのだ。

さすがに個室完備ではあったが

カギはなかった。

戸を開けたまま

外を睨んでしている人もあった。

なかなか駅(ホームでなく)には入れなかった。

出口と入り口が別なのだ。

やっとの思いで入り口を案内するネオンを見つけ、

駅の中へ。

オレは改札の前の待合室で

本を読んでいる。

落ち着かないのだが、

落ち着いているふりをしていたのだ。

「まだ!」などと、

また止められることを避けるため

「これだ!」と思えるまで

列に並ばないでいたのだ。

それでも落ち着かず、

2、3度立ち上がったりはした。

そのつど、

あくびをしたり屈伸運動などをして

座りなおしていた自分が情けない。

改札を抜けてホームへ出てからは、

さすがに余裕ができて

北京の月をフィルムに収めた。

三号車の3とあるので、

三号車の三号室をめざしたのだが、

もう先客がいた。

どうも“3”は席番らしい。

一室が4人なので一号室に向かった。

そこにはロシア人であろう兄ちゃんが、

大きな段ボール箱を

積み上げてしまっていた。

“1,2”の夫婦も、

その箱を迷惑そうに睨みながら

下のベッドに行儀よくふたりで腰掛けていた。

が、

オレは、

自分のベットすら占領されているのだ。

オレはその兄ちゃんに自分のチケットを見せ、

オレはナンバー3だ。というのだか、

そいつは、3・4だという。

3・4ってのは3アンド4なのかと聞くと、

そうだ。といい、

チケットを提示してきた。

そんなやりとりをしながらも

兄ちゃんは段ボール箱を

次々と列車の中に入れている。

90×60×60ぐらいの箱を

何十と運び入れているのだ。

そのため、

一時は通路が塞がってしまっている。

オレは、

こういうときの自分の思考を理解できないのだが、

次の瞬間、

オレは、その荷役クーリーの一員と化していた。

あとで思えば、

どうせ列車には乗れるわけだし、

苦情を言おうにも車掌を探すための通路は

塞がれているのだ。

席が重なったとはいえ、

その兄ちゃんのセイではない

(乗客に迷惑をかけていることは確かだが)。

いい判断だったかもしれない。

ただ、オレも人夫だと思ったのか、

中国人人夫に、

「そっちじゃねえ。こっちだ。ナニやってんだバカヤロー」

みたいな口調で指図されたのにはムッときたな。

発射のベルが鳴ってたし、

アセッてたんだろうし、

あっちはこっちの事情なんて知らないからね。

列車が動き出し、

オレは車掌を探すため通路に積まれた箱の上を進んだ。

中身はどうも衣類のようであり、物資不足を感じた。

時期としてはバルト三国が騒いでいたころで、

もう崩壊しはじめてた頃ってことになる。

オレがスペインに着いて少ししたら、

ゴルバチョフが拉致されたってニュースをやってた。

荷物の兄ちゃんと言い合ってる姉ちゃんがいた。

その姉ちゃんは2人、同じ服装である。

上着を脱いでいたんで、

もしひとりで擦れ違っても通り過ぎていたと思う。

兄ちゃんが立ち去ってから、オレは近づき、

その姉ちゃんに、

「Прводник?」

って尋ねてみると、

「Да」

という。

ここで「Прводник?」と「Да」を

読者に説明する必要はないと思う。

コトバというのはこういうもので、

状況や、相手の表情や態度でわかるものなのだ。

オレの旅は、

それを証明するための、

とても優れた体験だと思っている。

姉ちゃんは車内電話で確認し、

オレのチケットのナンバーを書き直した。

「ここは、3号車だ。

 お前は11号車まで歩いていけ、向こうだ」

オレは狭い通路をぶつぶつ言いながらも、

ひたすら歩いた。

その部屋ノンバーは

ニコライ、サーシャ、バースヤとオレの4人だ。

隣りにも彼らのツレがおり、

7人グループらしい。

オレは2回とも、

予約どおりの席(ベッド)に着けなかったが、

そのおかげでいい出会いができたと思っている。

この日は、北京で買ったナシと、

北京までの列車で一緒だった大じいちゃんにもらったみかんと、

神戸駅で買ったワンカップ大関と、

ローソンで買ったカロリーメイトを喰って寝た。

翌朝、サーシャとともに駅に降り、

外の空気を吸いにでた。

午前中は、

『都コンブ』をしゃぶりながら

外の景色と北海道の別海をダブらせたりして過ごした。

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