北京国際飯店 -1-
朝、車掌がオレを連れていく、
そこは食堂車で、
車掌に連れてこられたのだから
タダだろうと思ってたんだが、
3元とられた。
高い、というイメージだったね。
ラーメンなんだろうが
日本のソバって感じのあっさり味で、
なかなかうまかったんで
高いのは大目にみましょう。
この車掌というのが、
ジャッキー・チェンとオレのある知人を
足して割ったような顔してて、
オレがカメラを持って窓の景色を見てたら
窓を開けてくれたりした。
そのジャッキー・チェンが、
金を替えてくれ、と言ってきた。
中国では
外国人用の通貨を欲しがることを聞いていた。
相場は知らないがいくらかは儲かる。
当然禁じられているわけだ。
オレはその程度の知識はあったが、
快く100元を100元で替えてやった。
ジャッキー・チェンは少し戸惑ったが、
本当にいいのか、
と念を押して喜んだ。
オレは悪いことはしたくないが、
うしろめたくないことなら気にならない。
たとえ1元でも利があれば、
オレの心が犯罪意識を持ち、
オレを責めたと思うけどね。
北京へ着けば、
CITSが出迎えに来ているはずであったが、
名前などを書いたカードを持つ人々の中に
オレを待つ者はいなかった。
北京国際飯店というところへ向かわねばならない。
ミンさんの話では
駅から見える立派なホテルだから
すぐにわかるらしいが、
そんなものは見えなかった。
とにかく足に任せて進むと、
大きな建造物がある。
「あれだ!」と思い込み、
近づいてみると≪北京国際飯店≫とある。
オレにはそういった旅の勘がある。
人、
いや、生きものには、
生きていくための勘が備わっているものなのだ。
その勘を研ぎ澄ませてさえいれば、
必要な情報は、
向こうから飛び込んでくる。
オレはそう信じ、
また実践して生きている。
信じきれない人は不思議がるが、
素直に思いおこせば、
誰でもそんな現象の一つや二つは
体験しいてるものなのだ。
ただ、それを、
気づかずにいたり、
偶然という言葉でかたづけてしまったり
しているだけなんだよね。
そして、
なによりも嘆くべきことは、
感知できないでいる正常でない自分を、
自覚できていないということだろうね。
かくいうオレだって、
人生の半分以上は
研ぎ澄まされた状態を保っちゃいないからね。
このへんが人類の愚かなるかわいさ、だと思う。


コメント