ミンさん奮戦記-2-
まず、上海駅で
外国人用の切符売り場の長い列の後ろについた。
順番が来た。
が、
ここでは話にならず、冷たくかわされた。
しかし、その2つ隣にCITSの事務所があり、
そこへ行ってみると、
南京通りの事務所へ行け、となる。
タクシーを飛ばしてその事務所へ行くと、
『11時半から1時半まで昼休み』とある。
近くのレストランへ入りラーメンとギョーザを頼む。
料理がなかなか出てこない。
1時半になる。
そこで、オレたちは荷物を置いてCITSへ向かった。
なぁに、予約してあるチケットを
取りに行くだけのことなのだから。
【ホテルに泊まれなかった、という苦情より、
シベリア鉄道の切符がないのだ】
ところが、だ。
この事務所の中でも、
あっちこっちと振り回され、
時間は刻々と過ぎていく。
とはいえ、振り回されているのはミンさんで、
オレはといえば、
まったく状況がわからず
呆然とミンさんを見守るだけである。
ミンさんも、
やっと状況がわかり、
オレに説明をしてくれた。
どうも上海までは
オレの件で話が届いていないらしいのだ。
スタッフのいる奥の部屋に入り、
ミンさんが女性スタッフと討論している。
最初はこのおねえちゃんもシブシブであったが、
北京への電話で、
俄然口調が変わった。
ミンさんは、
その電話の内容を同時通訳してくれている。
オレの話は北京で止まっており、
CITS側のミスではあっても、
上海側に落ち度はない。
問い詰めるような口調である。
そして、この日本人が、
上海のホテルで
以後の列車・ホテル(モスクワ)のチケットを受け取る。
ということが明らかになった以上、
真剣にならざるを得まい。
もうここのスタッフは
総がかりで電話をかけまくっている。
北京以降のチケットが用意されていても、
この日本人を北京まで移動させないことには
そのチケットは無駄になる。
しかも厄介なことにコイツ(オレ)は、
融通のきかないソ連へ行くのだ。
ところが北京行きの空がない。
ねえちゃんはもう怒鳴っている。
そんなとき、
向こう側のデスクの兄ちゃんが受話器を持って叫んだ。
チケットが取れた、
と思ったオレにとって、
この後のねえちゃんと向こうの兄ちゃんとの
やり取りほどまどろっこしいものはない。
それは、
どういった経路から切符が取れたかという確認であった。
ミンさんの話ではこうだ。
中国では、
組織力(会社?)ではかなわないものがある。
親戚はもちろん、
知人であるというだけで組織力に勝るらしい。
向こうの兄ちゃんの友人が、
オレの欲しいチケットを融通できる。
ということなのだ。
駅のキップ売り場でも、
知人であれば列に並ばなくて買えるらしい。
オレは、
かなりその列の長さを覚悟していったので、
面食らうことはなかったが、
オレの知っている行列にたとえるのならば、
初詣の豊川稲荷ほどではないが、
名駅(名古屋駅)前の
第一勧業銀行のジャンボ宝くじの
行列ぐらいはある。
かなりの時間を費やして
北京までの代用チケットを
手に入れたオレたちを待っていたものは、
冷めきったギョウザと、
スープをタップリと吸い込んで
膨れ上がってしまったラーメンであった。
それを笑いながら楽しく食べ終えると、
ミンさんはオレを上海駅へ連れて行ってくれた。
上海駅では、
コウさんたちが合流した。
【きのう一緒に騒いだミンさんの友人】
彼らは、一柳君らの航空チケットを買いに、
飛び回ってくれていたらしい。
そして、別れるとき、
「とにかく全部請求すればいいから」
と、
コウさんたちの使ったタクシー代の領収書まで
オレにくれた。


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